今日もまた孤立した世界で、誰の目にも触れることのない文章を書き綴っている。
つながっていて当たり前の世界は唐突に終わりを告げた。
オフライン。
今、外は嵐だろうか。全ての憂鬱は打鍵音がかき消してくれればいい。
直接伝わってくる感情は生々しくて苦手だった。
直接伝える感情は他人にしか見えないトゲがないか心配だった。
僕らは便利という言葉が大好きだ。
その代わり、便利の裏にある不便にはとてつもなく鈍感だ。
トントン。
「あら、あなた。今日もまた書いているの?」
「あぁ」
「コーヒー、ここに置いておくわね」
「うん」
バタン。
もっと話せばよかっただろうか。
もっと話したかっただろうか。
今の僕にはそれを判断することも難しい。
意味がない行為だとわかっていて、今もまたキーを叩く。
いつか遠い未来の誰かが、僕のことを理解してくれることを祈りながら、
文章の保存は、やはりテキスト形式が無難だろうか。
逃避を含んだ夢想の中で、僕は嵐に吹かれる。
傷つかない為に傷ついていた。
傷つけない為に傷つけたいた。
でも、完全な代替手段によって、完全に衰えた僕の何かが妨げる。
打鍵音は速さと強さを増す。
打ち込む文字が尽きた僕は仕方なくコーヒーを飲む。
ミルクが多い。
僕はしばらくマグカップをじっと見つめた後、
妻に話しかけてみようと、意を決して席を立った。
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