2014年1月7日火曜日

天才数学者はこう賭ける 誰も語らなかった株とギャンブルの話


全体の感想

要するに賭け方の発想を知りたかった僕としては蛇足な内容がかなりありました。
ギャンブル(競馬とかブラックジャックとかルーレットとか)に真剣に向き合った歴史について詳しく知りたければいいのでしょうが、
あまりそこには興味がなかったので読むのが正直つらかったです。
しかしながら、発想として参考になるものもあったので、
かいつまんで読む分にはいいのかなと思います。

結局必勝の方法は無いというのがお決まりの結論ではあります。
が、この本から私の読み取った賭け方のセオリーとは、
他の人と比べて有利な賭けしかすべきではない
ということです。

どうやって有利を実現するかは、まちまちです。
 他者が使わない最新のテクノロジーを利用したり、
 他者は勘に頼っている部分を数学的に考えたり、
 法律の穴を見つけて利用する
などなど。

大多数と同じ条件で賭け事をすれば、
必ず長期スパンでは負けるということが書いてあったのだと思います。

資産が一番増える賭け方については参考になりそうでした。

読書メモ

『アルファベットを発明した人が、文学にどれだけの影響を及ぼしたかを語るようなものだ』
-本文より引用
クロード・シャノンという人が、いわゆる0と1で全てを表せるという
デジタルの概念を創りだし、その成果を表現する際に使われた言葉。
非常に的確な言い回しだとデジタルに溢れた今の時代で思う。

賭博師の破滅
対等な賭けをすれば、グラフはランダムウォークになる。
平均は最初の所持金である。
だが、時間が経つにつれて、振れ幅は大きくなってしまう。
平均が、理論上最初の所持金であろうと、
所持金が0になった時点で賭けは行えなくなる。
つまりだ、対等な賭けに乗っているだけでは、
長期的には破滅するしかない。

マーチンゲール
賭博師の破滅を防ぐ為の運用方法の一つ。
勝つまで掛け金を倍に増やしていくというやり方。
いつか不運が終われば、確実に所持金は増える。
が、回避方法というよりは、負の加速方法。
負け続ければ、掛け金がどんどん上がるが、
大きすぎる掛け金は勝負が成り立たなくなって
成立しなくなってアウトになる。

メッセージの圧縮
モールス信号は、英語でいちばんよく出てくる文字Eが一番短い符号の点1個で表される。
メーセージの中身で、省くことができないのは、意味であると考えられていた。
それに対して、シャノンは、意味はどうでもいいという立場をとった。
電話で「シャンプー」と「シャムー(シャチ)」を聞き間違える例で、夫がなんの前説明もなく、シャムーを買ってきてとは言わないから、妻は意味を汲み取れるはず。
日本で言えば、「あれとって」に近いかも知れない。
その前提として共有されているものが、
メッセージの中で大事なものである。

掛金分配方式(パリミューチュエル)
自分の得た情報により、勝つ可能性の推定に応じて全財産を分配して賭ける。
競馬でいえば出走した馬すべてに賭けるので、
全財産を失うことは絶対にあり得ない。
オッズの評価が一般の人々よりも正確ならば、
長期的には、信じる度合いに賭ける方式は、
複利計算でのリターンが最大になる。
胴元利益を差し引いても、上回るほどの正確な情報が必要になる。

ケリーの公式
全財産のエッジ/オッズを賭けろということで、
掛金分配方式のネックである胴元利益となる部分を最小限に減らすことができる。
この賭け方が一番増え方が大きい(等比級数的に増える)。
オッズ=(賭けに当たった時に増えるお金)/(掛金)
エッジ=(自分の情報による確率に基づき、当たった時に増えるお金の期待値)/(掛金)
100円掛けて当たったら、600円になる馬券の場合、
オッズは5。
自分の情報によると、三分の一の確率でこの馬券が当たることがわかっていれば、エッジっは(600/3−100)/100=1。
エッジ/オッズ=1/5
全財産の 1/5を賭けろということになる。
分の悪い賭けはやるな、100%勝てる勝負には全財産かけろということになる。
この賭け方は最も増え方は大きいが、変動は大きい。
変動が大きければ、負け続けたときに心臓に悪い。
ゆえに、ケリーの公式の半額を賭ける。すると、利益は3/4だが、変動を小さくすることもできるため一考に値する。

能動的な投資家と、受動的な投資家
受動的な投資家は、インデックスを買う人々。
能動的な投資家は、自ら株を選んで買う人々。
世界中の投資家全体で、世界中の株を全て保有しているので、
世界中の投資家全員の平均リターンは(運用経費、証券会社手数料、税金を引く前は)
株式市場全体の平均リターンと同じである。
そして、受動的な投資家のリターンは、市場全体の平均リターンと同じであるが、売買が少ないため運用経費は少ない。
能動的な投資家は、能動的な投資家間でのゼロサム・ゲーム(ここでいうゼロポジションは市場全体の平均リターンになる)であるし、売買が多いため運用経費は多くなる。
つまり、能動的な投資家である場合、プロ達をだしぬき、売買手数料をも蹴散らす程に、
かなりうまくやらないと市場平均は超えられないということになる。

算術平均と幾何平均
算術平均は、要素を全部足して、要素の数で割るという一般的なもの。
幾何平均は、要素を全部掛けて、要素の根を取るというもの。
途中でゼロの要素がある場合、幾何平均は必ずゼロになる。
ベルヌーイは、「賭けるときは幾何平均が最大になるものを選べ」と言った。
幾何平均<=算術平均
ただし、毎週同額を賭ける場合は、算術平均で賭けるのがよい。
が、まぁ普通に株をやる人は、複利で賭けていくはずなので、
幾何平均を最大にすることを考えた方がよい。

ランダムウォークから稼ぎを得る方法
資金と株を毎日5分5分にするように調整するだけで、資産はどんどんと増えていく。
ネックは売買の手数料らしい。
(今の時代、ネット証券で手数料が大分下がっているので再考の価値がもしかしたらあるか?)
定率再配分ポートフォリオと呼ばれるらしい。

マクスウェルの魔物
速い分子と遅い分子を瞬時に見分けて、左右に分類できるとすると、
温度差が生じでエネルギーがそこから取り出せるようになる。
が、そんなものはできないので魔物と言われている。

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